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【理事長】今だからこそ、地域活動支援センターが必要

少し前の出来事になりますが、去る3月24日に社会福祉法人光風会の地域交流啓発事業第1回「地域活動支援センター」座談会に参加協力させていただきました。                                                                  これは、精神障害者地域ケア研究所「風(FOO)」(地域活動支援センター・相談支援事業・生活介護事業)の河原井まゆみ所長の”地域活動支援センター”の今後に対する危機感に共鳴した水戸市やひたちなか市等の地域活動支援センターと相談支援事業所の職員が集まって開催されたもので、ひだまり会からも「かさはら」と「ディライトホーム」の”地域活動支援センター”の両施設長他3名が参加致しました。                                         開催にあたり、私は日立市の地域活動支援センターライトハウスの小南祐哉施設長とともに、座談会への話題提供をさせていただきましたが、その趣旨をまとめた文章を光風会さんの季刊誌である「花信風」2025年春号Vol.21に寄稿させていただきましたので、この場でも紹介させていただこうと思います。今後「地域活動支援センター」の日頃の業務の充実はもちろんですが、”想いを同じくする仲間“とともに法人の垣根を越えて”発信”することも私たちの務めだと心得て、第2回、3回と座談会を盛り上げていきたいと思います。

※地域活動支援センターとは?                                                       1999年(平成11年)の精神保健福祉法の改正により精神障害者社会復帰施設の一つとして法定化された「精神障害者地域生活支援センター」は、2005年(平成17年)10月の障害者自立支援法の成立により、市町村事業に位置づけが変わり「地域活動支援センター」として再編されることになった。これを契機に、全国的レベルでは役目を終えた精神障害者地域生活支援センターも多かったが、茨城県は2006年(平成18年)10月の法律施行時に、県内に存在した12ヶ所全てが地域活動支援センターⅠ型として再出発し、紆余曲折ありながらも現在に至る。福祉サービスが利用者の利用目的に沿った支援・訓練を計画性を以って提供するのに対し、「相談支援機能」とともに「フリースペース」とも呼ばれる「居場所・交流の場」としての機能を有し、利用人数や通所日数にとらわれることなく、障害者の地域社会へ向けた第一歩を懐深く提供できる運営を特徴とするが、市町村事業であるため、運営の可否はあくまで設置市町村に委ねられている。また、現在、多くの「障害福祉サービス事業所」や「相談支援事業所」が存在する中、その存在意義がますます問われている。

平成18年10月に「精神障害者地域生活支援センター」が市町村事業として位置付けられ「地域活動支援センター」として再出発して今年で19年、この間、精神疾患を有する総患者数は、およそ300万人から600万人(厚生労働省「患者調査」)と倍に増加し、三障害に占める精神障害者数はついに最多となりました。当事者を取り巻く環境も大きく変わりました。障害者自立支援法施行以降、福祉サービスが民間企業にも開放され、福祉サービスを行う事業所は主な通所サービスである生活介護・就労移行・就労継続支援(A及びB型)だけ取り出しても平成18年10月当時と令和5年同月比で10倍を超えています(厚生労働省「社会福祉等調査」)。この様に数字だけ見ると、障害者の地域における日中の活動場所は急増し、それに比例して選択肢も増えて喜ばしい限りなのですが、本当に当時の10倍分精神障害者の幸福度は増したのでしょうか?自ら障害福祉サービスを事業展開する法人の人間でありながら、私は素直に喜べないのです。何故ならば、障害福祉サービスは利用者数により事業所収入が増減する出来高で成立していますから、事業者としては運営を考えれば福祉サービスを毎日利用できる利用者をどうしても優先しがちです。しかし、ここに精神障害者の実態とは大きな隔たりが生じるのです。私が日頃接する精神障害に悩む当事者の方で、最初からコンスタントに事業所に通える人はほとんどいません。何故なら、彼らは病に悩んで自宅に引きこもったり、治療による長い入院生活を余儀なくされたり、地域社会から離脱せざる得ない様々な事情を抱えて今に至っているからです。再び地域の中で暮らすには、段階を経た相応の準備と時間、いわゆるリハビリが必要なのです。その意味でかつて大きな存在理由を発揮しその役割を担っていた精神科デイケアは、診療報酬単価が下げられ採算が合わずに次々と閉鎖されていきました。効率や実績が重視されるあまり、本来必要であり必要としている人がいる医療や福祉が今、次々と切り捨てられようとしています。利用日数や利用目的にかかわらない、まずは家からの一歩踏み出す社会の場としての地域活動支援センターもその危機にさらされていると感じていた中、今回、光風会の河原井まゆみ所長からお声掛けいただき、同じ危機感を共有できる仲間とともに私たち支援者そして当事者の声を可能な限り地方行政や国に届けたいという想いを強く致しました。回を重ね、仲間を増やし、こういう時代だからこそ、地域活動センターは必要なんだ!ということを広く知っていただければと思っています。

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